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名古屋地方裁判所 平成3年(行ウ)30号 判決

愛知県愛知郡日進町大字浅田字平子四-三五四

(納税地)名古屋市中村区太閤四丁目一〇番八号

原告

夏目正

右訴訟代理人弁護士

竹下重人

名古屋市中村区太閤三丁目四番一号

被告

名古屋中村税務署長 中嶋一夫

右指定代理人

大圖玲子

同右

佐々木博美

同右

三輪峻治

同右

大沢明弘

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  原告の昭和六三年分の所得税につき、被告が平成元年一二月二七日付けでした更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二事案の概要

一  争いのない事実

1  原告は、不動産業を営んでいる。

2  被告は、原告が昭和六三年分(以下「本件係争年分」という。)の所得税についてした確定申告に対し、平成元年一二月二七日付けで更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。その手続の経緯は、(別紙)課税処分の経緯記載のとおりである。

3  被告が本件更生処分及び本件賦課決定処分の根拠とする本件係争年分の原告の所得金額等は、(別紙)課税処分の根拠記載のとおりである。

4  被告は、(別紙)物件目録記載一の土地(以下「本件土地」という。)及び同目録記載二aないしfの各物件(以下、順次「本件物件a」のように表示する。)をたな卸資産と認定し、それを前提として、本件土地の売却代金並びに本件土地及び本件物件bないしeの各賃貸収入をいずれも事業所得の収入金額に加算する等して本件更正処分及び本件賦課決定処分をした。

二  争点

1  原告の主張

(一) 次の事実から明らかなように、本件土地及び本件物件aないしfは事業用固定資産であり、たな卸資産ではないから、本件土地の売却による所得は譲渡所得であり、本件土地及び本件物件bないしeの賃貸による所得は不動産所得である。

(1) 本件土地について

〈1〉 原告は、昭和六一年八月二八日、原告の営業用事務所又は賃貸ビルを建設する目的本件土地を買い受けたものであって、転売目的でこれを取得し所有していたものではない。

〈2〉 右購入当時、本件土地は、屋根付車庫であり、月極駐車場として賃貸されていたので、原告は所有者が変わったからといって直ちに解約をしたり賃料を増額したりするのは近くで事業を営む者としては相当でないと考え、購入後も同様な利用状況を継続していたものである。

〈3〉 原告及び伊藤善吉税理士は、昭和六三年九月頃、中村税務署において資産税担当者に事業用資産の買換えの特例の適用について相談をし、その際本件土地について右特例の適用があるという説明を受けたので、その説明に基づき本件土地を売却したものである。したがって本件更正処分において、事前の説明に反して本件土地をたな卸資産と認定することは、納税者に不利益を課すことになるから、信義則に反し許されない。

(2) 本件物件aないしfについて

〈1〉 本件物件bは、賃貸されていた。したがって、その敷地である本件物件aも貸付業の用に供されていたことになる。

〈2〉 本件物件cは、露天駐車場(舗装済)であり、月極駐車場として賃貸されていた。

〈3〉 本件物件d、aは、一区画をなしている土地であり、本件物件fは屋根付車庫その他であり、これらは一体として月極駐車場として賃貸されていた。

〈4〉 原告は、昭和六三年中に名古屋市天白区一つ山五の九所在の建物及び同市中村区中島町二-一六所在の建物を賃貸して賃料収入を得ていた。

〈5〉 本件物件aないしfは、右〈4〉の各建物と同様、昭和六三年度において継続して賃料の収入を得るため、貸付業の用に供されていたものである。

(二) 本件更正処分には、右(一)の点において所得税法及び租税特別措置法の解釈又は適用を過った違法があるから、本件更正処分中、原告の本件係争年分の確定申告書記載の納付すべき税額を超える部分は違法であり、また、本件更正決定において認定した各税額を前提としてされた本件賦課決定処分も違法である。

(三) よって、原告は、本件更生処分及び本件賦課決定処分の取消を求める。

2  被告の主張

(一) 本件土地について

(1) 原告は、転売目的の下に本件土地を取得し、昭和六三年一一月三〇日、当初の目的どおり、これを転売したのであるから、本件土地は、たな卸資産である。

(2) 原告が本件土地を駐車場として賃貸していたのは、転売するまでの一時的な措置である。

(3) したがって、本件土地の売却による所得及び本件土地の賃貸による所得は、譲渡所得、不動産所得ではなく、いずれも事業所得である。

(二) 本件物件aないしfについて

(1) 本件物件aないしfは、いずれも、原告が転売目的で取得し、所有していたものであり、本件物件bないしeの賃貸は、売却するまでの一時的な措置である。

(2) したがって、本件物件bないしeの賃貸による所得は、不動産の貸付業から生ずる不動産所得ではなく、原告の不動産業に関連して生ずる事業所得である。

(三) 本件各処分の適法性

(1) 原告の納付すべき税額は、(別紙)課税処分の根拠記載のとおり一億二〇四七万五三〇〇円であり、本件更生処分において認定した納付すべき税額一億一九三六万七六〇〇円を上回るから、本件更正処分は、適法である。

(2) また、本件賦課決定処分は、本件更正処分により納付すべきこととなった税額を基礎として計算した過少申告加算税を賦課決定したものであり、原告が右税額の計算の基礎となった所得金額を過少に申告したことについて、正当な理由があったとは認められないから、本件賦課決定処分は、適法である。

第三争点に対する判断

一  本件土地の譲渡及び賃貸による所得について

1  本件土地がたな卸資産かどうかについて

(一) 証拠(乙三ないし七、乙一一の二、乙一七ないし一九、三八、原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

(1) 本件土地は、地積二八〇・二〇平方メートルの宅地で、原告の事務所からは五、六〇メートルの距離にあるが、原告は、これを取引銀行である株式会社中京銀行中村支店(以下「中京銀行」という。)の貸付担当者の紹介により、昭和六一年八月二八日、一億一八六六万四七〇〇円で買い受けたこと。

(2) 原告は、本件土地の購入に際し、中京銀行から、返済期限・昭和六二年八月二八日、利息・年六、二五パーセントとして一億四〇〇〇万円の手形貸付を受けた(その利息は、一箇月役七三万円である。)が、その貸出申請書には、「資金使途」として「(本件土地の)商品物件購入資金及び日進町浅田の整地費用」、「返済財源・返済方法」として「上記物件売却により返済する」と記載したこと。

(3) 本件土地は、原告が買い受ける前から駐車場として賃貸されており、原告もそのまま従前の借主に賃貸を続け、一箇月一四万六〇〇〇円の賃貸収入を得ていたこと。なお、右の賃貸借契約は、期間を一年とし、一箇月前に賃貸人の予告により解約できるものとされており、原告は、昭和六三年八月、その約定に基づきこれを解約したこと。

(4) 中京銀行は、原告の依頼により、昭和六二年八月三一日、右(2)の融資を返済期限を昭和六三年一二月二〇日と定めて継続したが、その際、原告は、中京銀行に対し、継続理由として、本件土地の売却により返済予定であったが今期は利益が相当見込まれるため本件土地は当分の間売却せず所有する旨説明したこと。

(5) 原告は、昭和六三年四、五月頃、本件土地購入を検討していた郵政互助会と売買交渉を始め、二回程度の交渉を経た同年六月頃、本件土地の売却を承諾したこと。そして、同年一一月三〇日、原告は、郵政互助会に対し、本件土地を代金三億四八五〇万円で売り渡し、同日、右(4)の継続借入金全額を返済したこと。

(6) 原告は、本件土地取得後昭和六二年一二月までは、本件土地をたな卸資産として計上し、本件土地を駐車場として賃貸して得た収入は、昭和六一年分については事業所得として確定申告をしたこと。

(二) 右に認定した事実と原告が不動産業を営んでいることからすると、原告は、転売目的で本件土地を購入し所有していたものであり、本件土地の賃貸は、売却までの一時的な措置と認めることができる。

したがって、本件土地は、原告にとって、不動産業のたな卸資産であったというべきである。

なお、原告は、本件土地は原告の営業用事務所を建築するために購入したもので転売目的はなかった旨主張するけれども、証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、売却までの間に測量したこと以外本件土地に何ら手を入れたことがなく、新たな利用のための設計図等も一切作成せず、また、資金調達や見積りの準備もしなかったことが認められるから、仮にそのような計画があったとしても具体性に欠けた腹案程度のものでしかないというべきであり、右認定を左右するものではない。

また、原告は、本件土地につき昭和六十二年十二月三十一日から会計処理を変更して事業用固定資産として計上しているが(乙六、弁論の全趣旨)、他に本件土地の所有目的を変更したとすべき客観的事情を認めるに足りる証拠はないので、(一)において認定した事情の下では、右会計処理の変更をもって所有目的の変更があったものと認めることはできない。

2  信義則違反について

仮に原告の主張するような納税相談がされたとしても、それは資料も持参せずにされた程度のものであり(証人伊藤善吉)、本件全証拠によるも原告に対し権限のある者が公式の見解の表示と受け取れるような説明をした事実は窺えないから、本件においては、信義則の法理を適用すべき特別の事情があったとすることはできない。

3  本件土地の譲渡及び賃貸による所得の性質について

右に判示したように本件土地はたな卸資産であるから、その譲渡による所得及びその賃貸による所得は、いずれも原告の事業所得に該当することになる。

二  本件物件bないしeの賃貸による所得について

1  本件物件aないしfがたな卸資産かどうかについて

(一) 本件物件a、bについて

(1) 証拠(乙五、乙一一の一、二、乙二一、二四、二五、三三、三四、乙3五の一ないし四、乙三八、三九、乙四〇の一、乙四一ないし四七)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

〈1〉 原告は、昭和六〇年一〇月三〇日、本件物件a、bを取得したが、取得当時には既に伊藤克己(以下「伊藤」という。)が本件物件bのうち二階部分を店舗として賃借しており、原告は伊藤との間で昭和六一年一〇月三一日をもって期限満了とする賃貸借契約を締結したこと。

〈2〉 原告は、本件物件a、bの購入代金に当てるため、昭和六〇年九月二六日、中京銀行に対して、使途・商品物件購入資金、返済期限・昭和六一年四月二七日、本件物件a、b等の売却代金をもって返済するとの条件で借入申込みをし、同年一〇月三一日頃、中京銀行から七〇〇〇万円を利息・年六、二五パーセントの約定で借り受けたこと。

〈3〉 原告は、本件物件bについて昭和六一年五月三一日付けで、伊藤に対して同年一〇月三一日までに明け渡すよう求めたこと。

〈4〉 原告は、昭和六一年一一月二七日、中京銀行に対して、本件物件a、b等の売却により返済する予定であったが、現在売買の値段の折り合いがつかず売却できないので、弁済期を昭和六二年七月二〇日まで延期して欲しい、従前どおり本件物件a、b等の売却により期日に一括返済する旨の返済期限延期の申入れをし、その結果融資が継続されたこと。

〈5〉 原告は、本件物件a、bの取得時から昭和六二年一二月三〇日までの間は、これらをたな卸資産として会計処理し、本件物件bの店舗部分の賃貸収入のうち昭和六一年一月から八月までの分については、事業所得に係る収入として確定申告をしたこと。

〈6〉 原告は、平成三年九月四日、本件物件a、bを原告の子が代表取締役である光和建設株式会社(以下「光和建設」という。)に一億九〇〇〇万円で売却し、その旨の所有権移転登記を経由したこと(原告本人は、右売買を否定する供述をし、本件土地a、bについて平成三年一二月七日付けで真正な登記名義の回復を理由に原告への所有権移転登記を経ているが(甲二の一、二)、前掲各証拠によると、原告は、名古屋市長に対し和光建設を譲受人とする売買代金一億九〇〇〇万円の売買契約の届出をし、名古屋市信用保証協会に対しては、本件物件a、bを売却するとして、保証条件変更申込書を提出していること、右売買の契約書が株式会社三和銀行(以下「三和銀行」という。)及び中京銀行に提出されていること、光和建設は、平成三年九月四日頃、三和銀行から融資を受けて振り出した小切手により原告の当座預金口座に振替入金しているが、これが中京銀行に提出された右売買契約書中の売買残代金と一致すること、光和建設は、平成三年一〇月一日に本店を本件物件aに移転し、平成四年一一月時点で現に使用していることが認められ、以上の事実に照らすと原告本人の右供述は採用できない。)。

(2) 右に認定した事実と原告が不動産業者であることからすると、原告は、本件物件a、bを販売目的で購入し所有していたものであり、本件物件bの賃貸は、売却までの一時的な措置であったものと認めることができる。

なお、原告は、本件物件a、bにつき昭和六二年一二月三一日から会計処理を変更をしているが(乙六、弁論の全趣旨)が、所有目的の変更を示す客観的事情を認めるに足りる証拠はないので、(一)において認定した事情の下では、右会計処理の変更のみから、原告が所有目的を変更したと認めることはできない。

(3) よって、本件物件a、bは、いずれも原告の不動産業におけるたな卸資産に該当するというべきである。

(二) 本件物件cについて

(1) 証拠(乙三、五、六、一七、一八、三二、三八、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

〈1〉 原告は、昭和六一年一二月一五日、駐車場として賃貸されていた本件物件cを購入したが、購入後もその形状及び借主を変更することなく駐車場として賃貸し続けたこと。

〈2〉 原告は、昭和六一年一二月一五日、本件物件cの購入のため、中京銀行から、商品物件購入資金として五五〇〇万円を年七パーセントの割合による利息を支払うとの条件で借り受けたこと。

〈3〉 原告は、昭和六三年には、本件物件cを三台分の駐車場として賃貸していたが、その賃貸収入(月額一台一万二〇〇〇円)は、右借入金の利息(一箇月役三二万円)に満たず、また、右利息は、原告の不動産所得の必要経費に計上されなかったこと。

〈4〉 原告は、本件物件cの取得時から昭和六二年一二月三〇日までの間は、本件物件cをたな卸資産として会計処理していたこと。

(2) 右に認定した事実と原告が不動産業者であることからすると、原告は、本件物件cを販売目的で購入し所有していたものであり、その賃貸は、売却までの一時的な措置であったものと認められる。もっとも、原告は、本件物件cにつき昭和六二年一二月三一日から会計処理を変更しており(乙六、弁論の全趣旨)、また、(1)〈2〉の借入れについて平成元年一二月二二日に支払期限の延期を受けた際、将来原告事務所ビルの建設を予定しているので本件物件cを売却する意思はない旨、借入金は、本件物件d、e、fの売却代金により一括弁済する旨説明しているが(乙五)、その他に所有目的の事実により、右のように認定するのが相当である。

(3) よって、本件物件cは、原告の不動産業におけるたな卸資産に該当すると言うべきである。

(四) 本件物件d、e、fについて

(1) 証拠(乙三、五、一四ないし一八、二三、三八)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

〈1〉イ 原告は、昭和六一年一月一三日、本件物件d及びその地上の建物を一億二千六百四二万千円で購入したこと。

ロ そのため、原告は、昭和六一年一月一日、中京銀行から商品物件購入資金として一億三千五百万円を本件物件d等の売却により返済するとの条件で借り受け、昭和六三年一二月三一日にその返済期限の延期を受けた際には、中京銀行に対して本件物件dにワンルームマンションを建築した後一般エンドユーザーに売却することにより返済する旨説明したこと。

〈2〉イ 原告は、昭和六二年四月二四日、本件物件e、fを購入したこと。

ロ そのため、原告は、昭和六二年四月二二日、商品物件購入資金として、中京銀行から弁済期・昭和六三年四月一五日、年率・六、二五パーセント、本件物件e、fの売却により返済するとの条件で二億六〇〇〇万円を借り入れ、平成元年一二月二二日にその返済期限の延期を受けた際には、中京銀行に対し、既に同年六月一三日に本件物件e、fについて売買契約が成立しているので、その代金で一括返済する旨説明したこと。

〈3〉 原告は、本件物件d、eを昭和六三年中は駐車場として賃貸したこと。

その賃貸期間は、一年とされ、一箇月前の予告により、解約することができるとされていたこと。

〈4〉 原告は、平成元年九月四日に本件物件dを、平成二年一月一〇日に本件物件e、fを、それぞれ売却したこと。

〈5〉 原告は、本件物件d、e、fの各取得時には、いずれもこれをたな卸資産として会計処理したこと。

〈6〉 〈1〉及び〈2〉の各借入れに対する利子は、原告の不動産所得の必要経費に計上されていないこと。

(2) 右に認定した事実と原告が不動産業者であることからすると、原告は、本件物件d、e、fを販売目的で購入し所有していたものであり、本件物件d、eの賃貸は、売却までの一時的な措置であったものと認められる。

なお、原告は、本件物件d、e、fにつき昭和六三年一月一日から会計処理を変更しているが(乙一三、弁論の全趣旨)、その他に所有目的を変更したとすべき客観的事情を認めるに足りる証拠はないので、(1)において認定した事情の下では、それにより所有目的を変更したと認めることはできない。

(3) よって、本件d、e、fは、いずれも原告の不動産業における事業のたな卸資産に該当するというべきである。

2  本件物件bないしeの賃貸による所得の性質について

右に判示したところによると、本件物件bないしeの賃貸による所得は、事業所得に当たることになる。

三  本件更正処分及び本件賦課決定処分の適法性

1  右一、二において判示したところによると、本件土地及び本件物件aないしfが原告のたな卸資産に当たることを前提として本件係争年分の所得金額を算定した上、納付すべき税額の範囲内でされた本件更生処分は適法である。

2  したがって、本件更生処分により納付すべきものとされた税額を基礎としてされた本件賦課決定処分も適法ということになる(本件全証拠によるも、原告が納付すべき税額の計算の基礎となった所得金額を過少に申告したことについて正当な理由があったと認めることはできない。)

第四結論

以上において判示したところによると、原告の請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 後藤博 裁判官 入江猛)

(別紙)

課税処分の根拠

1 総所得金額「(一)+(二)」 四七七万三八六四円

(一) 事業所得の金額のいち、土地等の分離事業所得の金額以外の事業所得の金額

「(1)-(2)」 四三三万三三六七円

(1) 事業所得の金額「〈1〉-(〈2〉+〈3〉+〈4〉)+〈5〉」 一億八三六一万九六九〇円

〈1〉 総収入金額「イ+ロ+ハ」 三億九〇九二万八五一五円

イ 原告の本件係争年分所得税青色申告決算書(一般用)(以下「一般用決算書」という。)記載の売上(収入)金額 三七五七万九四一五円

ロ 本件土地の売却代金 三億四八五〇万円

ハ 「A+B+C+D」 四八四万九一〇〇円

A 本件物件bのうち店舗に係る賃貸収入 一五六万円

B 本件土地に係る賃貸収入 一〇二万二〇〇〇円

C 本件物件cに係る賃貸収入 四六万八〇〇〇円

D 本件物件d及びcに係る賃貸収入 一七九万九一〇〇円

〈2〉 売上原価「イ+ロ-ハ」 一億四〇四六万七〇〇〇円

イ 期首たな卸高「A+B」 六億七六七六万九六五〇円

A 一般用決算書記載額 三九九九万五四五〇円

B 「a+b+c+e+d+f+g」 六億三六七七万四二〇〇円

a 本件土地 一億一八六六万四七〇〇円

b 本件物件a 五〇八三万二〇〇〇円

c 本件物件b 二二〇六万〇五〇〇円

d 本件物件c 五九九七万六〇〇〇円

e 本件物件d 一億二六九二万一〇〇〇円

f 本件物件e 二億五一八二万円

g 本件物件f 六五〇万円

ロ 仕入金額「A+B」 二億〇七六七万八九三九円

A 一般用決算書記載額 二億〇三五七万八九三九円

B 瀬戸市西洞町一二二番地八筆の土地建物の仕入金額 四一〇万円

ハ 期末たな卸高「A+B」 七億四千三百九八万千五百八九円

A 一般用決算書記載額 二億二千三百三九万六千五百八九円

B 「a+b+c+e+d+f+g」 五億二千五八万五千円

a 本件物件a 五〇八三万二〇〇〇円

b 本件物件b 二一〇二万一〇〇〇円

c 本件物件c 五九九七万六〇〇〇円

d 本件物件d 一億二六九二万一〇〇〇円

e 本件物件e 二億五一八二万円

f 本件物件f 五九一万五〇〇〇円

g 瀬戸市西洞町一二二番地八筆の土地建物 四一〇万円

〈3〉 一般経費「イ+ロ+ハ+ニ+ホ」 六四三四万一八二五円

イ 租税公課「A+B」 八三四万六一六〇円

A 一般用決算書記載額 六三八万八一五五円

B 「a-b」 一九五万八〇〇〇五円

a 原告の本件係争年分所得税青色申告決算書(不動産所得用)(以下「不動産所得用決算書」という。)に租税公課として計上されている額

b 名古屋市天白区一つ山五の九所在の土地建物に係る税「Ⅰ+Ⅱ」 二七万九七〇〇円

Ⅰ 固定資産税 一六万五五〇〇円

Ⅱ 不動産所得税 一一万四二〇〇円

ロ 修繕費「A+B」 一三万一四三〇円

A 一般用決算書記載額 一二万〇〇七〇円

B 「a-b」 一万一三六〇円

a 不動産所得用決算書に修繕費として計上されている額 八万四八六〇円

b 名古屋市中村区中島町二丁目一五所在の建物に係る修繕費 七万三五〇〇円

ハ 支払手数料「A+B+C」 二三五〇万〇〇九〇円

A 一般用決算書記載額 二一五万一一三〇円

B 不動産所得用決算書に支払手数料として計上されている額 九万八〇〇〇円

C その他の手数料 二一二五万〇九六〇円

ニ 諸会費「A+B」 一九万四六〇〇円

A 一般用決算書記載額 一五万一四〇〇円

B 不動産所得用決算書に諸会費として計上されている額 四万三二〇〇円

ホ その他の一般用決算書の経費欄記載額(貸倒金を除く。) 三二一六万九五四五円

〈4〉 貸倒金 五〇〇万円

〈5〉 債権償却特別勘定戻入金 二五〇万円

(2) 土地等の分離事業所得の金額(損益通算前の金額)「2(一)記載」 一億七九二八万六三二三円

(二) 不動産所得の金額「(1)-((2)+(3))」 四四万〇四九七円

(1) 総収入金額「〈1〉+〈2〉」 一五〇万円

〈1〉 名古屋市中村区中島町二丁目一五所在の建物に係る賃貸収入六六万円

〈2〉 名古屋市天白区一つ山五の九所在の土地建物に係る賃貸収入 八四万円

(2) 必要経費「〈1〉+〈2〉+〈3〉+〈4〉」 九五万九五〇三円

〈1〉 租税公課「イ+ロ」 二七万九七〇〇円

イ 名古屋市天白区一つ山五の九所在の土地建物に係る固定資産税 一六万五五〇〇円

ロ 不動産所得税 一一万四二〇〇円

〈2〉 名古屋市中村区中島町二丁目一五所在の建物に係る修繕費 七万三五〇〇円

〈3〉 名古屋市天白区一つ山五の九所在の建物に係る減価償却費 五八万二三〇三円

〈4〉 地代家賃 二万四〇〇〇円

(3) 青色申告控除額 一〇万円

2 土地等の分離事業所得の金額「(一)+(二)」 一億七八七〇万八八三九円

(一) 土地等の分離事業所得の金額(損益通算前の金額)「(1)-((2)+(3))」 一億七九二八万六三二三円

(1) 土地等の分離事業所得に該当する総収入金額「〈1〉+〈2〉」 三億八〇〇九万円

〈1〉 本件土地の譲渡収入 三億四八五〇万円

〈2〉 愛知県愛知郡日進町浅田字西前田七六晩九、同七六番一一の土地の譲渡収入 三一五九万円

(2) 土地等の分離事業所得に該当する売上原価「〈1〉+〈2〉」 一億三八八四万二五〇〇円

〈1〉 本件土地の期首たな卸高 一億一八六六万四七〇〇円

〈2〉 愛知県愛知郡日進町浅田字西前田七六番九、同七六番一一の土地の仕入金額

三〇一七万七八〇〇円

(3) 土地等の分離事業所得に該当する一般経費 六一九六万一一七七円

「前記1(一)(1)〈3〉の一般経費の金額に事業所得の差益金額二億五〇四六万一五一五円に対する土地等の分離事業所得に係る差益金額二億四一二四万七五〇〇円の割合九六・三パーセント(小数点四位以下切捨て)を乗じて算定した額」

(二) 譲渡所得の金額「(1)+(2)」 △五七万七四八四円

(△は、赤字(譲渡損)である。以下同じ。)

(1) 短期譲渡所得の金額 △六四万七四八四円

(2) 長期譲渡所得の金額 七万円

3 所得控除額 一二〇万六五〇〇円

4 原告の本件係争年分の課税される総所得金額 三五六万七〇〇〇円

前記1記載の総所得金額四七七万三八六四円から前記3記載の所得控除額一二〇万六五〇〇円を控除した金額(国税通則法一一八条一項により一〇〇〇円未満の端数は切り捨てたもの。)

5 課税される土地等の分離事業所得金額 一億七八七〇万八〇〇〇円

前記2記載(同方一一八条一項により一〇〇〇円未満の端数は切り捨てたもの。)

6 納付すべき税額「(1)+(2)」(同法一一九条一項により一〇〇円未満の端数は切り捨てたもの。) 一億二〇四七万五三〇〇円

(1) 課税される総所得金額に対する税額 四一万三四〇〇円

(2) 課税される土地等の分離事業所得金額に対する税額 一億二〇〇六万一九二〇円

(別紙)

物件目録

一 名古屋市中村区竹橋町二二〇五番

宅地 二八〇・二〇平方メートル

二a 名古屋市中川区長良町四丁目一三三番

宅地 四一四・七一平方メートル

b 名古屋市中川区長良町四丁目一三三番地 家屋番号・一三三番

鉄骨造スレート・陸屋根二階建店舗・居宅

一階 一一六・四七平方メートル

二階 一二八・〇六平方メートル

c 名古屋市中村区太閤四丁目一〇〇二番二

宅地 八二・六四平方メートル

d 名古屋市中村区則武二丁目二五〇八番一

宅地 三六三・四五平方メートル

e〈1〉 名古屋市中村区則武二丁目二五〇五番

宅地四〇九・四八平方メートル

〈2〉 同二五〇八番二

宅地 八四・〇五平方メートル

f eの各土地上の構築物

(別紙) 課税処分の経緯

〈省略〉

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